デイトレ初心者ブートキャンプ!

デイトレ初心者のための実用的入門ブログ

デイトレードに必要な最低限の基礎知識と準備

ギャンブルと投資に本質的な違いはない

ギャンブルと投資に本質的な違いはない」と書くと、多くの生真面目な投資家の方たちを怒らせてしまうかもしれません。たしかに、投資の対象と手法はとても多様ですから、一獲千金を狙って偶然の結果に資金を投じるギャンブルとは、非常に異なる投資もあるでしょう。

しかし、投資もギャンブルもリスクを伴い、結果の予測は不確実です。元本の保証がなく、未来を正確に知る方法は存在しないという点では、ギャンブルも投資も本質的に違いはないと、このキャンプでは考えています。

ただし、投資にもギャンブルにも、戦略があります。

そして、このキャンプで皆さんが学んでいくデイトレードにも、シンプルでわかりやすい手法が存在し、リスクを適切にコントロールすることで、安定した利益を狙うことが可能だと考えています。

この記事では、デイトレードに必要な最低限の基礎知識と準備を説明し、シンプルでわかりやすいトレード手法「ミニマリズムアプローチ(ミニトレ)」の概要を紹介していきます。初心者でも実践しやすいこの手法を活用し、リスクを能動的にコントロールしながら、利益を追求する方法を学びましょう。

デイトレードを始める前に決めておくべきこと

ギャンブルと投資に本質的な違いはないと書きました。

なぜそれを最初に書いたかというと、デイトレードを始める前に必ず皆さんに決めておいてほしいことがあるからなのです。それは、「自分のリスク許容範囲はどこまでか」ということです。

「投資は余裕資金で」とよく言われます。

これは逆に言えば、「余裕のない状態で投資を行うべきではない」ということです。自分の投資資金がほとんどなくなってしまっても不安なく眠れるか?ムチャな節約をしなくても証券口座を維持できるか?

もちろん、大負けすれば「悔しくて夜も眠れない」と感じる人は多いでしょうし、少しでもデイトレの資金を増やしたくて節約もするでしょう。でも、悔しいとか、贅沢を控えようというのは、日常生活の範囲内です。しかし「不安で」眠れない、食費を削ったり無謀な借金をしたりしないとトレードができないとなると、それは日常生活を壊してしまっています。

生活防衛資金をためながらトレードする、自分の資産を把握してデイトレードに割り当てても後悔しない資金でトレードする。まずはそこを徹底しましょう。

あなたの「余裕資金」はどれくらいありますか?いくらまでなら、たとえ失ったとしても「不安なく」眠れますか?

デイトレードとは?

デイトレード(以後デイトレ)は、短期間で株を売買し、利益を得ることを目指す取引手法です。1日のうちに取引を完了させ、ポジション(持ち株)が日をまたがないという点に特徴があります。この特徴は、デイトレでリスクをコントロールしていくにあたって重要なことなので、ぜひしっかりと脳裏に焼き付けておいてください。

ところで、残念なことにデイトレを新NISA口座で行うことはできません。せっかく生涯で1800万円もの非課税枠があるというのに、デイトレでNISA口座を使うことはできないのです。

デイトレはなぜ除外されたのでしょうか?それはこの短期投資の手法が、長期投資に比べてハイリスク・ハイリターンな投資だと思われているからです。もっと言えば、デイトレが「投資ではなく投機*1」だと認識されているから、国民が大切な資産を安心して増やす方法として、適切ではないと判断されたのでしょう。

デイトレのリスクとリターン

デイトレには、(他の投資手法と同様に)リスクが伴います。株価は短期間で大きく変動することがあり、その変動を利用することで利益を得る一方、損失を被るリスクもあるのです。

しかし、たとえばある会社の株式価値が半減するという事態が起きたとしたら、それは短期投資でも長期投資でも同じ「半減」です。半減した価値を、長期投資家は長い期間保持して回復するのを待つのに対して、デイトレーダーは「下がる!」と察知したら直ちに行動を起こし、損失を限定します。つまり、デイトレーダーは、リスクに対してよりセンシティブに反応するわけです。このようにリスクを能動的にコントロールすることが可能であるため、デイトレは中長期投資に比べて、むしろリスクが小さいという人もいます。

また、このキャンプで後に解説する「レバレッジ」を利用することによって、デイトレが長期投資よりも小資金で大きな利益が得られることを、データに基づいて主張する研究もあります。*2

「リスクは避けるもの」と思われがちですが、それは違います。リスクは評価し、対処するものなのです。株式投資の世界では「リスクプレミアム」という言葉が使われます。リスクのない資産から得られる利益より、どれくらい利益率が上回っているかを意味する概念ですが、リスクを取ったときに得られる利益の魅力度と考えるとわかりやすいでしょうか。デイトレとは、短期的なリスクを取って魅力的な利益を獲得する投資戦略だと言えそうです。

デイトレを始めるために必要な準備

デイトレを始めるためには、最低限、以下のものを準備する必要があります。

資金

初心者の場合、50万円程度の余裕資金が目安です。この金額は、損失が出ても生活に影響を及ぼさない範囲で設定しましょう。当然、多いほど安心してトレードできますが、先ほど書いたように、トレードの安心と引き換えに生活の安心を手放さないよう気をつけてください。なぜ50万円かというと、信用取引口座を開くには、一般的に最低30万円の入金が求められ、その30万円が1円でも減ったら取引が停止されてしまうからです。つまり20万円は、多少損失が出てもすぐに退場させられないための余力として上乗せした金額です。*3

証券口座

余裕資金が決まったら、証券口座を開きましょう。取引手数料が安く、口座開設もほぼネットだけで完結できるネット証券がおすすめです。デイトレができるネット証券会社は、大手5社と言われるSBI、楽天、マネックス、松井、auカブコムのほかに、岡三オンライン、GMOクリックなどがあります。

デイトレーダーには松井、楽天、SBIが手数料の安さなどから人気があります。手数料以外に考慮すべきことはあまりないので、どの証券会社でも大きな違いはないと考えて良いと思います。

トレーディングツール

株式の売買を行うには、注文するためのトレーディングツールが必要です。

証券会社が提供しているトレーディングツールには、細かな点で違いはありますが、初心者には大差ないと言って良いでしょう。ほとんどの場合無料で提供されるので、どこがお得だということもありません。自分が口座を開設した証券会社が提供している、無料のトレーディングツールを使いましょう。

証券会社はトレーディングツールの機能の豊富さを競っていますが、このキャンプでは、「初心者はとにかく情報を減らすほうが良い」と考えていますので、まずは何でも良いのでツールの基本的な使い方を覚え、トレードの流れに慣れてほしいと思います。その上である程度トレードに慣れてきたら、より使いやすいと感じるツールに乗り換えたり、複数のツールを使い分けたりすることを考えても良いでしょう。最初は適当に選んで使ってみることです。

インターネットに接続されたパソコン

インターネット回線とパソコン等の機材は、ぜいたくを言い出したらきりがありません。このキャンプの考え方は、「今あるもので始めましょう」です。上級者になれば、世間のデイトレーダーのイメージのように、何枚もの大型モニターや、ハイスペックなパソコンを設置した、専用のトレーディングルームを持つ人もいますが、その一方で、タブレットとスマホだけで利益をあげている人も存在するので、自宅のネット回線とノートPCが1台あれば、初心者のトレードで困ることはないでしょう。上級者になって、トレード環境の問題が利益に影響するような状況になれば、その時に考えましょう。

 

投資の2つの戦略:ファンダとテクニカル

デイトレを含む株式投資の入門書には、必ず2つの投資戦略についての説明があります。1つはファンダメンタル戦略(分析)、もう1つはテクニカル戦略(分析)です。

長期投資の本では主にファンダメンタル戦略に多くのページが割かれ、短期投資ではテクニカル戦略を詳しく解説する傾向にあると思います。

しかし、当キャンプがお伝えするミニマリズムアプローチでは、どちらの戦略も使いません。その理由は、どちらの戦略も初心者に複雑な情報処理を強いる割には、たいして勝敗に寄与しないと考えているからです。

「そんな方法ではトレードに再現性がないでしょ」と、両陣営からお𠮟りを受けそうです。しかし、デイトレにおいては、過去の業績や株価の推移から複雑な計算を経て予測を導くには、トレード時間が短いのです。デイトレでは「いま・この瞬間の需給」こそが重要であり、過去5日間や直近25分間の情報が、必須とは言えないと考えています。板をよく観察していれば、どれくらいの数が売られたか、いつ頃から買い上がるスピードが鈍化したかを、計算機のように精確ではなくとも、だいたい把握することができます。その「だいたい」が持つ情報の解像度は、デイトレ初心者が売買判断を行うのに十分なものです。

初心者が落ち着いて処理できる情報の量は、決して多くありません。それならば、重要度の高い情報の処理に多くの注意と記憶を割り当て、冷静に注文作業ができることを優先すべきだと、当キャンプでは考えているのです。

ミニマリズムアプローチ(ミニトレ)とは?

このキャンプでお伝えするミニマリズムアプローチ(ミニトレ)は、銘柄ごとの売買の注文状況を板で観察し、売買の判断を行う手法です。チャートや出来高などの指標も使いますが、主役は板です。板、チャート、出来高という実にシンプルな3つの情報を用いてトレードを行います。初心者にも取り組みやすい方法であり、情報を必要最低限に絞ることで、初心者に起こりがちな混乱や焦りを抑えられるよう考案されています。

板の見方

板は、売り注文と買い注文の状況を表示したものです。売り板(板の左半分)には売り注文の価格と数量が、買い板(右半分)には買い注文の価格と数量が表示されます。この情報をもとに、現在の需給状況を判断します。

下の画像は、SBI証券のトレーディングツール「HYPER SBI 2」の板画面です(SBI証券のホームページ)。

この画面だけでも、「どこに目をやったらいいかわからない」と、頭がクラクラする人がいるかもしれません。当キャンプが、「情報を絞ろう」という理由がわかっていただけると思います。

しかもリアルなトレードでは、この板が絶え間なく数字を変化させながら上下に動き、そのたびに数字がフラッシュ(点滅)を繰り返しています。静かな廊下を歩いて部屋の扉を開けたら、中ではいきなりド派手なダンスミュージックのライブをやっていたようなインパクトです。

板の情報は、中央から両外に向かって、株価、注文数量、注文枚数(大雑把に「発注者の人数」だと理解しておいてください)、注文の累計、価格ごとの出来高(出来高は左側のみ)が表示されています。デイトレーダーは一般的に、この板上の希望する価格をクリックして発注します(この操作の具体的手順がツールごとに異なるため、初心者はよく理解し、習熟する必要があります)。

「ミニトレ」の最重要情報源は、この板情報です。株価が順調に上がっているなら、板のなるべく低い位置で買い注文を出し、約定したら今度はなるべく高い位置で売り注文を出します。この2度の注文の価格差が、トレーダーの利益(損失)となります。ミニトレでは、勢いよく上に向かって行く時の早いタイミングで買い、(理想的には)上がりきったところで売る。この単純な作業を数回繰り返して3千円の利益を出そうというわけです。

ところで3千円って、デイトレではどれくらいの時間と資金で得られると思いますか?

東京証券取引所では、ほとんどの銘柄が100株単位で売買されています。株価が1千円なら、買うのに必要な資金は最低10万円ですね。1千円の株を買って、それが30円上がれば3千円の利益になります。

では、株価が30円上がるのに要する時間はどれくらいだと思いますか?

もちろんそれは銘柄ごとに毎日変わりますが、出来高が多く人気化している銘柄ならば、わずか数秒で30円以上値上がりすることもしばしばです。「1日3千円の利益」を、数秒で得られる日もあれば、丸一日かかってやっとという日もあるのが相場の実態です(そしてもちろん、同じ時間で同じ額の損失になることもある)。

チャートの活用

チャートは、株価の時間的推移を要約的に示します。ローソク足や移動平均線を活用することで、株価のトレンドや株価変動が示唆するサポート(下値の支持線)やレジスタンス(上値の抵抗線)を判断します。

下のチャートはHYPER SBI 2のチャート(ローソク足チャート)画面です*4。上3分の2ほどの領域にローソク足チャートが表示されており、下3分の1には時間帯別の出来高(先ほどの板画面にあったのは価格帯別出来高です)が表示されています。証券各社のツールは、このチャート画面の機能や指標の種類の多さ、使い勝手の良さを競っていますので、カスタマイズ性などはツールによって異なっていますが、ミニトレで使うのはごく限られた機能と指標なので、どのツールでも心配無用です。

分析線を描画する(個別チャート)|HYPER SBI 2 操作ガイド|SBI証券

ミニトレでは、チャートはトレードの主役ではありません。しかし極めて重要な脇役です。チャートは、前日の銘柄選定・銘柄検討の時に日足を見て翌日の株価の変動幅に見当をつけたり、トレード中に5分足(または15分足)を見て値動きの大まかな方向性を俯瞰的に確認したりするのに使います。チャートは情報を極力絞り込むために、ローソク足だけ、あるいはせいぜい移動平均線(中期線と長期線)をローソク足に重ねるだけです。デイトレの本で必ず多くのページを割いているテクニカル指標は、上に書いた理由から、使いません。

出来高の重要性

出来高は、ある銘柄が取引された数量であり、取引が活発かどうかを示す指標です。大雑把には、出来高が多いほど取引が活発であることを意味し、株価の変動も大きくなる傾向があります。「出来高が多い」の基準に絶対的なものはありませんが、当キャンプではおおむね100万株以上の出来高を「多い」と表現します。

出来高が決定的に重要な理由は、何度もチャンスが訪れるからです。

ためしに1日5万株程度の出来高しかない銘柄で、板を観察してみてください。寄り付いた直後から数分経っても一度も約定がないことが、ザラにあるはずです。

まとめ

今回の記事では、デイトレに必要な最低限の基礎知識と準備、そして当キャンプが初心者向きのトレード手法だと考えている「ミニトレ」について概観しました。

ギャンブルと投資に本質的違いはなく、その人のスキルレベルに見合った適切な戦略が必要です。デイトレは、必要な情報を絞り込んでリスクコントロールを行うことにより、初心者でも1日に3千円程度の利益を目指すことが可能です。「ミニトレ」は、板とシンプルなチャート、出来高という、初心者にも処理しやすい情報だけを用いた取り組みやすい手法であるため、デイトレ初心者が混乱を避けつつ効率的にトレードを行うことができます。

今回は、一度に多くのことをお伝えすることを避け、大まかな全体像を示しました。今後は、ミニトレに関する具体的なテクニックや注意点について詳しく解説していきます。ぜひ、次回もお楽しみに!

 

 

このブログはランキングに参加しています。「気になる」と思っていただけたらランキングボタンを押してください。お願いします!

*1:なんとなく投機のほうがネガティブなイメージですが、金融機関のホームページなどでは投資期間の短いものを投機と呼んでいるようです。

*2:

https://bit.ly/44OTgLk

*3:その人が信用口座でトレードできる残高のことを「信用余力」と言います。

*4:

https://bit.ly/3V5UeQd