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テクニカル分析 ファンダメンタル分析 必要?

今回の記事では、株式投資の2大戦略であるテクニカル分析とファンダメンタル分析について解説します。

それぞれの分析方法は、デイトレの入門書で必ずと言って良いほど多くのページが割かれていますが、デイトレ初心者はこれらの多彩な分析方法にどの程度習熟し、活用する必要があるのでしょうか?

本記事では、2大戦略についての最新の知見をやさしく解説し(必ずしも理解する必要はありません。ざっと読んでくだされば十分です)、デイトレ初心者がこれらとどう付き合うべきなのかについて、当キャンプなりの考えを提示します。

この記事によって、あなたはデイトレ入門書の最重要項目である2大戦略に対して、独自のスタンスを得ることができます。

 

ファンダメンタル分析

ファンダメンタル分析とは、企業の実体や収益性、成長性などの基礎的な経営指標を分析し、株価の適正水準を判断する手法です。この分析を通じて、株価が過小または過大に評価されているかを見極め、投資判断の材料とします。

主なファンダメンタル分析の指標

1. 収益性

- 売上高、営業利益、経常利益、最終利益などの推移
- 売上高営業利益率、ROE(株主資本利益率)、ROA(総資産利益率)など収益性を示す指標

2. 安全性

- 自己資本比率、デット・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)
- 営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローなど

3. 成長性

- 売上高、利益の伸び率
- 新規事業の成長見通し
- 研究開発費の水準

4. その他

- 配当性向
- PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)など株価指標

ファンダメンタル分析の手順

1. 企業概要の把握

   事業内容、事業環境、経営戦略などを理解する。

2. 決算データの分析

   上記の指標を中心に、過去数年の決算データを詳細に分析する。

3. 業界動向の把握

  同業他社との比較や業界全体の成長性を検討する。

4. 株価の適正水準の判断

   分析結果から、株価が割安または割高かを判断する。

5. 投資判断

   株価の適正水準と実際の株価を比較し、売買のタイミングを決める。

ファンダメンタル分析のまとめ

ファンダメンタル分析は地道な作業が必要ですが、企業の実力を多角的に評価できる点が強みです。一方、株価は将来の期待も反映するため、分析結果と乖離する場合もあります。そのため、テクニカル分析なども組み合わせて総合的に判断することが重要とされています。

 

テクニカル分析

テクニカル分析では、株価の過去の値動きから将来の値動きを予測しようとします。分析手法としては、チャートを用いた分析とテクニカル指標を用いた分析があります。テクニカル指標は確率的な計算によって求められるため、数学が苦手な人にとっては苦痛でしかありません。この記事では指標の計算式はすべて割愛しました。ざっと読んでくだされば十分です。

チャート分析

株価の過去の値動きをチャートで表し、チャートが示すパターンから将来の値動きを読み取ります。主なチャートの種類としてはバーチャート、ローソク足チャート、ラインチャートなどがあります。日本のトレーダーの多くは、開発者が日本人だということもあって、ローソク足チャートを好む人が多いようです。

チャート分析では、チャートの形状を手掛かりに値動きを予測します。代表的なチャートパターンとしては、ヘッドアンドショルダー、ダブルトップ/ダブルボトム、三角保ち合い(フラッグ)などが有名です。

チャート分析については、マネックス証券のホームページがわかりやすいので、チャートの形状とその利用法についてはそちらを参照してください。

info.monex.co.jp

テクニカル指標を用いた分析

テクニカル指標は、株価の過去の値動きから算出される各種指標を用いて売買シグナルを探るものです。トレンド系とオシレーター系の指標があります。

トレンド系指標

トレンド系指標は、英語でOverlays(重ね合わせた)と呼ばれ、文字通りチャート上に重ね合わせて表示させる指標です。株価の方向性を判断するための指標と考えれば良いでしょう。代表的なものは以下の通りです。

移動平均線
   - 一定期間の平均値を示す線で、短期と長期の2本を使い分けることが一般的です。これに中期線を加えて3本でより詳細に分析する人もいます。
   - ゴールデンクロスやデッドクロスなどのシグナルを活用します。

MACD(Moving Average Convergence/Divergence)
   - 移動平均線の乖離から売買シグナルを捉えます。

ボリンジャーバンド
   - 価格が統計的に設定できる一定範囲を上下に大きく乖離した際に、反転シグナルと判断します。

パラボリック
   - 曲線で価格の動きをトレースし、株価が曲線にタッチしたところを方向転換のサインとしてキャッチします。

オシレータ系指標

オシレータ系指標は、売り買いの強弱や価格の過熱感を示す指標です。非常に多くの指標が考案されていますが、ここでは代表的なものに絞って簡単に説明します。

RSI(Relative Strength Index)
   - 過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計をもとに算出される指標で、0から100の値で示されます。70超えると売り圧力、30を下回ると買い圧力が高まるとされています。

ストキャスティクス
   - 最高値と最安値の間で現在値がどの位置にあるかを示します。

RCI(Rank Correlation Index)
   - ある期間における日付と価格に順位をつけ、その相関関係を-100%から+100%の範囲で指数化したものです。一般に20を上回ると売り圧力、-20を下回ると買い圧力が高まるとはんだんされます。

DMI(Directional Movement Index)
   - +DIとーDIの差から方向性を判断する指標です。

これらの指標は単独で使うよりも、複数の指標を組み合わせて利用することが重要と言われています。また、指標だけでなく価格行動や売買高なども考慮に入れる必要があります。

 

2大戦略の長所と短所

ファンダメンタル分析とテクニカル分析は、それぞれ長所と短所があります。下記の表は、それを一覧できるように整理したものです。詳細を見ていただくとわかるように、相互に補い合う部分があることと、「情報過多」という共通の問題があることに注目してください。

 

 

2大戦略への批判

効率的市場仮説

難しげな学術用語が出てきましたが、2大戦略のどのような点を批判しているのかがわかればそれで十分です。さらっと解説しますので、要点を頭の片隅に記憶しておいてください。

効率的市場仮説の本質

効率的市場仮説は、金融市場において価格が常に利用可能な情報を完全に反映すると主張します。これは、価格変動はランダムであり、過去の情報から将来の価格を予測することはできないという前提に基づいています。

効率的市場仮説の評価

効率的市場仮説の検証は、多くの統計的方法を用いて行われてきました。しかしその内容は、素人には少々難しすぎる内容です。ただ、これらの方法で、効率的市場仮説は一貫した結果が得られておらず、仮説の妥当性に対しては、確固たる結論が出ていない​​ことは知っておいて良いでしょう。にもかかわらず、(大人の事情により*1)効率的市場仮説は、長年にわたり金融理論の中心的な役割を果たしてきました。

効率的市場仮説の再検討

近年になって、この仮説に対する疑問が提起されています。

行動経済学の影響

行動経済学の発展により、投資家の合理性に対する疑問が生じました。投資家は必ずしも合理的に行動するわけではなく、心理的バイアスや感情の影響を受けることが明らかになりました。このことは市場の効率性に影響を与えます。

ノイズトレーダーの存在

ノイズトレーダーとは、企業の基礎的な価値とは無関係な要因に基づいて取引を行う存在のことです。デイトレーダーはノイズトレーダーの代表選手です。このようなノイズトレーダーの存在は、価格の一時的な歪みを引き起こし、市場の効率性を損なう可能性があると言われています*2

情報の非対称性

一部の投資家は他の投資家よりも多くの情報を持っているという事実は、市場の効率性を阻害する要因とされています。インサイダー取引などの違法行為がその典型例です。

 

2大戦略は、デイトレ初心者にどの程度必要か?

まず結論から言うと、当キャンプでは、2大戦略がデイトレ初心者に必要なものとは言えず、せいぜい絞り込まれた2,3の情報を利用するだけで十分だと考えています。理由は2つあって、1つ目は、これらの分析に習熟するには多くの手間と時間が必要だが、その成果が必ずしもデイトレ初心者の利益と成長に寄与しないと思われるからです。理由の2つ目は、2大戦略に関する科学的基礎が脆弱なものに感じられるからです。当キャンプの最初の記事で、「投資とギャンブルは本質的に違わない」と書いたことを覚えておられるでしょうか。ギャンブルに科学は通用しません。それならば、デイトレにも通用しないだろうということです。

ただし、2大戦略を全否定するわけではありません。その一部はデイトレ初心者にとって、相場の状況をデータで把握するのに役立ちます。

ファンダメンタル分析との付き合い方

ファンダメンタル分析は、主に長期投資家が頼りにする方法です。経営の現状から見た企業価値を把握するのに有効です。しかしデイトレにおいては、短期的な需給の変動がトレード結果を左右します。したがって、ファンダメンタル分析を詳細に行う必要はないと考えて良いでしょう。ただし、決算発表というイベントは、デイトレにおいて非常に重要なイベントなので、決算が市場の予想と比べてどの程度良かったのか悪かったのかは、銘柄選定の手がかりとして知っておくべきでしょう。

決算シーズンになったら、IFIS株予報などのサイトで決算の概要を見ると良いでしょう。

kabuyoho.ifis.co.jp

また、ファンダメンタル分析で用いられる指標については、先にも紹介したマネックス証券のホームページが、「銘柄分析・入門塾」というページで初心者向けに解説していますので、気になる人は参考にしてください。

info.monex.co.jp

テクニカル分析との付き合い方

テクニカル分析は、デイトレーダーの多くがトレードの参考にする指標を数多く開発しています。とりわけチャートの形状と出来高、移動平均線は、株価の推移を把握するのに便利です。しかし、過去の株価をもとに算出されたテクニカル指標の多くは、矛盾や例外が多く、トレードの根拠として寄りかかるには不安があります。

デイトレ初心者は、トレードの明確な根拠となるものを欲すると思いますが、現状ではそれに応えてくれる指標があるようには思えません。

この傾向は、トレード時間が短くなればなるほど強くなると感じます。当キャンプでは、スキャルピングのようにきわめて短い時間で決済するトレードで、テクニカル指標を頼るのは心もとないと考えています。

しかし、ローソク足チャートと移動平均線、出来高の3つは、直近の値動きや取引の事実を知らせてくれ、初心者が相場の森で迷子になりそうな時のガイドになってくれると思います。当キャンプがお伝えする板観察トレード法では、テクニカル分析の一部が重要な脇役として活躍しています。

 

まとめ

今回の記事では、株式投資の2大戦略として、ファンダメンタル分析とテクニカル分析を取り上げました。いずれの分析も先人たちの工夫の結晶ではありますが、デイトレ初心者には複雑で、予測の安定性に疑問が残るため、当キャンプではこれらの中のごく限られた情報だけをトレードに用いることをお勧めします。

次回の記事では、その「ごく絞られた情報」でとして、板、チャート、出来高が果たす役割やその関係について解説する予定です。

どうぞお楽しみに!

 

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*1:興味がわいた人は、たとえばナシーム・ニコラス・タレブの著書を読むと爽快に感じるくらい明確に批判しています

*2:別にデイトレーダーが批判されているわけではありません。市場はより人間的だと言っているだけです。