デイトレ初心者ブートキャンプ!

デイトレ初心者のための実用的入門ブログ

投資とリスクとプレミアム

初めに:投資とギャンブル

デイトレは一瞬で大きな利益を生むこともあります。株価1万円、1千株購入、寄りから急騰して株価は数分で1万500円に。わずか数分で50万円の利益です。

このヒリヒリするような緊張とスリル、大きな利益を出した時の歓喜の爆発は、トレーダーを虜にするには十分すぎる体験です。

でもそれ、ただの偶然ですよ。

上級者なら、「いや、そんなことはない!前日からこの展開は見切っていたぞ!」と、炎柱煉獄さんのように胸を張るかもしれません。実際にそうして大きな利益を出している上級トレーダーはいるでしょう。

鬼滅の刃】煉獄 杏寿郎「うむっ、いい心掛けだ!!」 Demon Slayer Kyoujurou Rengoku - YouTube

でも、初心者がそれをやったとしても、崖っぷちに落ちている札束をたまたま見つけて拾いに行くようなものです。地面は濡れてひび割れている。札束に手を伸ばした瞬間、足元が崩れ落ちてしまうかもしれない。

そして本当に足元が崩れて崖から真っ逆さまに落ちていき、相場から退場する羽目に。

そんなトレードが普通のデイトレだと勘違いしないために、本記事では投資とリスク、リスクプレミアム、そして生活防衛ということについて学んでいきましょう。

 

投資はリスクとともにある

株式投資と銀行預金のちがいは、誰でもご存じの通り「元本保証」です。銀行に預けたお金は、いつでも預けた額と同じだけ引き出すことができます(正確には1口座1千万円までしか保護されないという制約がありますが、いまは無視します)。

しかし投資には、この元本保証がありません。「投資は自己責任で」と言われるのは、「元本割れしても投資した人の責任だから、損した分は返ってこないよ」という意味です。

投資はリスクとともにあります。

リスクを取った人が、取らなかった人よりも大きな利益を得ることができる。リスクを取らなければ、お金が減る可能性は低いけれども、ほとんど増えることもありません。

ところでリスクとは何でしょうか。日常会話ではおおよそ「危険」というニュアンスで使われることが多いと思いますが、金融の世界では「不確実性」という意味で使われます。1万円の投資に対して、それが9,900円になる可能性と1万1千円になる可能性があるが、どっちになるか確実にはわからない状態を指して、「リスクがある」と表現します。

デイトレは「ハイリスク・ハイリターン」とも言われます。これは、「不確実性が大きい分、利益が出ればその利益は大きい」と言い換えることができるでしょう(デイトレが本当にハイリスクなのかは後述します)。

 

では実際に、デイトレはどれくらい「ハイリスク」なのでしょう。

銀行預金の利率は、現在大手都市銀行(三菱UFJ銀行)の普通預金の場合、年0.02%程度です。1万円の預金は1年後に1万200円になっています。それに対してデイトレは、1日で売買を完了させる投資ですから「年利」という考え方をしませんが、たとえば東京証券取引所の本日の三菱UFJフィナンシャルグループの株価を見ると,前日比+0.1%でした。銀行が1年で利息200円だったのに対して、株式投資では1日で1単元(100株)の取引をすれば、150円になる計算です。この「前日比+0.1%」という数字は、デイトレにおいてかなりおとなしいというか、小さいリスクです。今日の株価上昇率ランキングで見ると、上昇率1位の銘柄は、なんと50%も値上がりしています。

値上がりばかり強調するのは不公平ですね。下落率も見ておきましょう。下落率1位の銘柄は、今日だけで-15.28%下落していました(下にリンクを張った株探のホームページで今日の値上がり・値下がり率ランキングを確認してみてください)。

このように、投資は、増えるか減るかが確実でないというリスクを伴い、デイトレの場合、1日で50%もの価格変動が生じることもあります。

kabutan.jp

リスク・プレミアム

リスクという考え方と関連して、「リスクプレミアム」という言葉もしばしば耳にします。リスクプレミアムとは、無リスクの投資で得る利益よりも、リスクを取って得られる利益にどれくらいの魅力があるかを意味する概念です。

リスクがあってもなくても得られる利益が同じならば、誰もリスクのある投資をしようとは思わないでしょう。リスクを取るからには、それを上回る利益を期待するのが当然というものです。リスクプレミアムを、この期待の大きさと考えても良いでしょう。

デイトレがハイリスクな投資ならば、リスクプレミアムはより大きなものとなるはずです。デイトレで大きなプレミアムを獲得する方法はいろいろですが、例として、1回の取引で売買する単元(株数)を大きくするとか、呼び値(売買の注文をする際の値段の刻み。0.1円~10万円まである)の大きい銘柄で取引するとか、小さな利益ですぐに決済(利確)せず保有時間を長くして株価の上昇を待つなどがあげられます。株価の下がった銘柄の反発を期待して買い進める「逆張り」も、リスクプレミアムを大きくする方法だと言えます。いずれもトレーダーが自分で判断し選択できるため、リスクプレミアムの大きさはコントロールすることができます。

 

デイトレはハイリスクなのか?

ここまでに、投資はリスクを伴うこと、ハイリスクな投資には、大きなリスクプレミアムが期待されていることを説明してきました。

デイトレはハイリスク・ハイリターンだという話を前提に説明を進めてきましたが、今度はその前提自体について考えてみましょう。デイトレがハイリスクだと言われる理由は、短時間で株価が大きく変動する可能性があるからです。先ほど値上がり率ランキングを紹介しましたが、1日の相場で株価は50%も変動していました。たしかに小さくない不確実性です。しかし疑問も生じます。「1日で50%も変動するなら、2日目にも変動するんじゃないか?」という疑問です。

50%というリスクは、プラスにもマイナスにも生じます。1日でマイナス方向に50%動いた銘柄が、次の日にまた50%値下がりしたら、2日で75%の値下がりです。2日以上株式を保有するが、長期では持たない投資は、中期投資とかスイングトレードと呼ばれます。中期投資や長期投資に価格変動のリスクはないのでしょうか。もちろんあります。そして、短期投資と長期投資のどちらが「合理的な投資か?」については、金融経済学の研究テーマともなっています(おおむね長期投資に軍配が上がっているようですが、金融経済学の研究にもリスクがあるので要注意!)。

ここでちょっと、ふざけた例えで考えてみましょう。あなたは大きな爆弾を両手で持っています。この爆弾を5分間持っているのと、1週間持っているのとでは、どちらが死ぬ確率が高いでしょうか?あるいは、「この爆弾を5分持っていたら5千円あげる、1週間持っていれば1万円あげる」と言われたら、どちらを選びますか?

デイトレがハイリスクだという話は、これと大差ありません。爆弾を持たないことが決定的に重要で、持ってしまえばリスクはあるのです。そしてデイトレーダーは、5分経ったら爆弾を捨ててスタコラ逃げるわけです。

 

生活防衛という視点を持ちましょう

株式を爆弾に例えるのは、世の投資家に対して少々失礼が過ぎたかもしれません。もう少しまじめな話に変えましょう。

投資期間の長短にかかわらず、投資が生活を壊すものであってはいけません。「投資は余裕資金で」と言われますが、これは本当に重要で、常に念頭に置くべき原則です。では、余裕資金をどうやって決めれば良いでしょうか。長期投資(投資信託)の入門書のベストセラーである『ほったらかし投資術』の著者たちは、「生活防衛資金」という考え方を紹介し、日常生活に必要なお金と生活防衛資金を除外して、残ったお金を「運用資金」にするよう呼びかけました。余裕資金も同様の考えで良いと思います*1

重要なのは「生活防衛」という視点です。上の本では、「概ね3か月~6か月分の生活資金」を確保し、それを生活防衛資金にすると書かれています。仮に職を失って収入が途絶えても、3か月~6か月は生活できるようにしておくことを、著者たちは投資に先立つ準備として重視しています。当キャンプも、この考えに賛同します。投資による損失が、生活を決して脅かさないようにすること。デイトレを長く続けたい、長く続けて利益を上げたいと思うなら、生活防衛資金は絶対に必要だと思います。なにも「生活防衛資金を貯めるまではデイトレをするな」ということではありません。上の本の著者である水瀬ケンイチ氏は、別の著書『お金は寝かせて増やしなさい』の中で「貯めながら投資すればよい」と書いています。大切なので二度書きますが、重要なのは生活防衛という視点を持つことです。

 

まとめとして:デイトレはギャンブルなのか

デイトレを「投機」と呼び、合理的な投資ではない、ギャンブルだと主張する人が多く存在します。当キャンプも、一面ではその主張に同意します。デイトレは、本質的にギャンブルと違わない。ただし、別の面で次のようにも主張します。デイトレ以外の投資も、決してギャンブルであることを免れない。ギャンブルとは、不確実なものに自分の資産を投じることです。だとすると、長期投資も中期投資も、不確実性から逃れることはできません。だからこそ、あらゆる投資に先立って生活防衛資金を持つ必要があります。デイトレを始めるにあたり、このことは何度も強調しておこうと思います。

これでデイトレを始める前の重要なハードルを越えました。次回からは、いよいよデイトレの世界に足を踏み入れます。どうぞお楽しみに!

 

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*1:正確にはここからさらにリスク資産と無リスク資産に分けるという考えなのですが、ここでは割愛します